経営理念浸透と独自の評価制度が生み出す女性活躍の場
株式会社スーパーホテル | |
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業種 (事業内容) | サービス業 |
設立年月日 | 1989年12月20日 |
資本金 | 6,750万円 |
社員数 | 189人 |
本社所在地 | 大阪市西区 |
ホームページ | https://www.superhotel.co.jp/ |
ダイバーシティ推進に取組む背景や歴史
(右) 経営品質本部本部長 星山英子さん
(中央)レベニューマネージメント部
係長 三浦留奈さん
(左) 総務部店舗研修担当 金春月さん
1989年に大阪市で創業、ホテルチェーンの展開、土地有効活用のコンサルティングを行っています。
1996年福岡県にスーパーホテル一号店を開業し、2023年現在は172店舗を展開。また、海外では2013年ミャンマーに開業しました。
当社は、特に出張や仕事での利用者をターゲットに、『安全、清潔、ぐっすり眠れる』というコンセプトをモットーに、お客様に密着しながら、感動的なサービスを提供する事に注力してきました。
また、時代に合わせた進化を続け、2009年から持続可能な社会に繋がる「ロハス」「エコ」をテーマに、地球の環境や人の健康を考え、それを応援する新しいホテルの形を築き上げました。
一例としては、「エコひいき」という取り組みを行っており、客室清掃・ベッドリネンの洗濯に使う水(一室あたり21L 以上)を削減するべく、連泊時に清掃不要とお申し出のあったお客様へ、オリジナルミネラルウォーターをプレゼントしております。
こうした企業活動を通して、一人ひとりの人間性を高め、感動の連鎖を生み出せる人を増やしていくことが、企業価値となり、社会貢献に繋がっていくと考え、「自律型感動人間」※を育て、増やしていくことで、社会に価値を還元していきたいと思っています。
また、自律型感動人間の根本は、社員自身が幸せに働いている状況が必要不可欠であり、グローバル化、女性活躍推進、障がい者活躍推進等、時代に合わせながら、ダイバーシティ推進に取り組んでいます。
※自ら主体的に考え行動し、周囲の人に感謝し、お客様の喜びを自分の喜びとして受け止めることができる人。
ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容
【スター制度(評価制度)の導入】
当社が事業拡大を続け、全国100店舗に成長する一方、当時は全店舗で統一した社員教育の仕組みがなく、入社後のオリエンテーション研修で一通りの業務・サービスを習得後は、店舗次第という状況であったため、店舗・スタッフ毎にサービスの品質にばらつきがみられました。
そのため、オリエンテーション研修後、現場で働くスタッフがどうしたらもっと輝けるか、モチベーションアップや定着につながる制度を現場スタッフと一緒に考え、フロントスタッフ職におけるキャリアアップ制度として、2011年に社内独自の従業員育成のための評価システム「スター制度」を導入しました。
スター制度は、半年に1度の面接とWEBでの筆記試験や技能試験で知識・スキルが評価され、「ブロンズスター」「シルバースター」「ゴールドスター」「No.2」の4段階のステップアップがあります。入社後3~4年を想定した評価制度で、「シルバースター」までは現場の副支配人・支配人が評価を行い、それ以降は本部社員が評価を行います。
本評価は、他者の評価に左右されず、自分の働きぶりで評価される絶対評価です。社員は、スター制度で得た評価のスターバッジを胸につけて勤務しており、それに加えて、アルバイトのスタッフはステップアップ=昇給へと紐づく仕組みとなっています。
スター制度の導入で自身のキャリアアッププランを明確にすることによって、全スタッフのモチベーションアップおよび定着につながっています。
【女性社員の活躍の場の拡大】
従来は、現場のフロント業務や接客業務で働く女性社員がほとんどでしたが、スター制度導入と同時に、女性社員の活躍の場を広げることに着手しました。
スター制度の導入で自身のキャリアアッププランを明確することによって、本部で活躍したいと願う女性社員も増え、2011年に9人だった女性の本部スタッフは、現在33人となりました。
性別・年齢・国籍等に関わらず、一人ひとりの能力や希望、経営理念の理解を上司との面談や「チャレンジシート」や「ランクアップノート」といったセルフマネージメントシステムで確認し、配置を決定しています。
現在は、現場経験とコミュニケーション能力を活かした、接客指導のインストラクターとして活躍している女性が最も多く、その他営業や運営・企画等多くの職種で女性社員が活躍しています。
女性管理職も現在11人で全体の22.9%を占めるまでになっています。
女性社員一人ひとりの頑張りと活躍が、女性社員が活躍する場を更に広げる結果に導いています。
【育休後の柔軟な勤務形態】
ホテルのフロント業務職では、女性が全体のおよそ8割を占めており、シフト制で夜勤等もあったため、以前は、出産をきっかけに退職する社員が多くいました。そうした現状を受け、女性が長く活躍できる職場づくりに着手し、様々な取り組みを導入しました。
現在、産休育休後は社員と人事部・各部署で相談し、時短や勤務時間固定、フレキシブルな勤務スケジュール、復職後の希望部署への配置等、社員の希望によって柔軟な働き方で受け入れを行っています。
また、復帰後、子どもの体調不良等での欠勤等が増えることを見越し、社員本人がまわりに気兼ねなく働けるよう、無期雇用時給制も導入しています。
そうした柔軟な勤務形態で復職後も活躍する女性社員が増え、社員のロールモデルとなり、現在、育休後の復帰率が100%となっています。
また、希望者は、グループ会社が運営する企業主導型保育園に自身の子どもを優先的に入所させることができ、費用も当社が大半を負担しています。
ダイバーシティ推進取組における成功談
女性をターゲットとした新サービス展開
コロナ禍でホテルの客室稼働率が落ち込んだ際、新規顧客として女性客を獲得するため、様々な部署の女性社員6人をメンバーとした、女性プロジェクトを立ち上げました。
女性専用フロアやレディースルームはすでにありましたが、女性のお客様に、より快適な宿泊・サービスをご提供するため、女性社員の視点・意見を取り入れ、レディースルームをリニューアルすることとしました。
プロジェクトでは、客室の備品一つひとつを見直し、美容と健康を考えた専用備品を備えるべく、女性に人気のシャワーヘッドやドライヤーを起用、女性の身体に最適なマットレスを開発し、女性専用枕をつくりました。
また、新レディースルームを売り出すために、どのようなプランを用意するかも女性社員の意見を取り入れ、客室に設置されている備品の体験モニタープランを企画しました。
その結果、近場のホテルでリラックス・リフレッシュを目的とした宿泊のお客様やyoutubeで話題になっている女性の「ビジホ飲み」の場所としてご滞在いただく機会も増えました。
新規顧客層を獲得でき、女性のお客様数を約5%アップすることに成功しました。
ダイバーシティ推進の取組における経営上の成果
口コミによって増えた外国人求職者
国籍問わず、優秀な人材を求めて採用活動していたところ、現在、8か国13人の外国人社員が活躍しています。
求人サイトを通して新卒・中途採用どちらも行っておりましたが、社内の外国人社員が個人で発信するSNSから、当社の取り組みや職場環境等が自然に広まり、その結果、外国人材からの採用応募を多くいただくようになりました。
外国人社員が、当社の経営理念を理解し、満足して働いているからこそ、今の状況があると思っています。
経営理念浸透により、同じ方向を向く全社員
当社は、性別・年齢・国籍等に関わらず、「どれだけ経営理念を理解し、体現できているか」を大切な評価基準としています。
当社のめざすべき社員像は、「自律型感動人間」、すなわち、自分の夢をしっかり持ち、人の喜びを自分の喜びとして受け止められる人、周囲の人や顧客に心配りをしながら、自分で考えて必要な行動が取れる人です。
当社は「自律型感動人間」を育成することによって、顧客・社員・社会の満足度を向上させていくことに力を注いでいます。
この考え方を社内で共有する場を多く設け、社員一同がモチベーション高く、同じ方向を向いて進んできた結果、コロナ禍で一時は落ちた売上でしたが、2023年度V字回復で最高売上を達成することができました。
また、お客様のリピーター率が現在74%で、サービスに高い評価をいただいています。
経営理念浸透により、同じ方向を向く全社員
社員に幸せに働いてもらうためにダイバーシティ推進に取り組み、サービスを向上させ、積極的にSDGs活動を行うことによって様々な賞を受賞いたしました。
(2016年女性活躍推進法「えるぼし」認定、2019年「第9回日本でいちばん大切にしたい会社」審査委員会特別賞、J.D. パワー“ホテル宿泊客満⾜度8年連続No.1<エコノミーホテル部⾨>”受賞、環境大臣認定エコファースト企業認定 等)
外部評価をいただくことにより、社員に自信とやる気を引き起こし、当社のサービスや取り組みを多くの方に知ってもらう機会となりました。
更なるサービス向上をめざすべく、これからも邁進してまいります。
【人事担当者の声】
誰もが働きやすい職場づくりを
当社は、女性が多く活躍していることもあり、女性活躍に理解のある社風です。
しかし、女性が働きやすい職場環境の整備や制度の構築については、まだまだできることがあると考えています。今後もこれで良いと慢心することなく、性別・年齢・国籍問わず働きやすい職場づくりを社員全員で考えていきます。
【従業員の声】
入社8年目 金 春月さん
中国出身、日本留学を経て、2016年新卒入社。入社後4年間接客業務を経験し、結婚出産後、総務部店舗研修担当に配属されました。
大学就職支援センターからの案内で合同説明会に参加し、そこで当社と出会いました。現在は、外国人社員の研修を担当しています。
月に一度、外国人社員全員と面談しながら、外国人社員のスキルアップのための研修とサポートを行っています。
今後も外国人材の定着と育成に向けて、サポートをしていければと思っています。
また、育休後から、勤務時間を固定し、夜勤なしで働いています。
勤務スケジュールを柔軟に受け入れてもらえて、子育てに理解のある方が多い職場環境なので、子どもが小学生になるまではこの働き方で勤務し、公私ともに充実させながら社会に貢献していきたいと思っています。