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障がいを持つ社員の自主性と自信を育み、成長に導く職場づくり

グローバルコミュニティ株式会社

業種(事業内容)

不動産の総合管理業務

設立年月日

1971年9月1日

資本金

1億円

社員数

2,468人(うち、障がい者34人)

本社所在地

大阪市中央区

ホームページ

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ダイバーシティ推進に取組む背景や歴史

(左)管理本部サポートサービス課 吉田 寛美さん
(右)管理本部サポートサービス課 柳川 まゆらさん

1971年にビル清掃、電気・空調メンテナンス業として創業しました。その後、建物全般の管理へと事業を拡大し、現在は、ビル・施設・マンションの管理業務や修繕工事をおこなっています。
当社が掲げる目標は、お客様の期待に応える「最適快」を創造することです。事業環境の変化や顧客ニーズの多様化に対応すべく、DXなどへの挑戦も開始しました。その新たな取り組みの一翼を担っているのが、障がいを持つ社員たちです。

当社が障がい者雇用を始めたのは、マンションの管理員として採用した社員が、偶然、障害者手帳を所持していたことがきっかけでした。しかし、高齢者の割合が高い職種という背景もあり、長期雇用にはつながらず、その後部署ごとに直接採用を実施したものの、社内の受入体制が整っていなかったため、定着にはいたりませんでした。
2020年の初頭、社会的要請の高まりを受け、管理本部内に専門の「サポートサービスチーム」を設置し、障がい者雇用に向けた体制づくりを本格化しました。まず、社内の全部署に業務の洗い出しを要請し、担当してもらう業務がどれほどあるかを調査しました。そして、大阪府主催のセミナーなどで情報収集を重ねつつ、障がい者の雇用・就労支援の実績を持つ専門人材を採用し、2021年の初頭に実習の受け入れを開始しました。
その後、他部署からの異動や中途採用、高等特別支援学校からの新卒採用を経て、現在は13人の社員が「サポートサービス課」と改称した部署に在籍し、他部署から依頼を受けた業務に取り組んでいます。各種契約書や、マンション管理組合の総会議事録、建物設備等の点検報告書などの電子化業務を通して会社のDXに貢献している他、契約書の製本や封入作業、郵送対応など多岐にわたる業務を担い、活躍の幅を広げています。

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ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容

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【採用方針を明確化】

障がい者の雇用に当たり、意識的に取り組んだのが、採用方針の明確化です。法定雇用率を維持することは大前提ですが、だからといって当社の組織風土や業務内容との相性を見極めずに採用してしまうと、入社してくださった方に苦しい思いをさせてしまうことになります。

そこで当社は、求める人物像を言語化することを意識しました。「就労意欲がある」「前向きで素直である」「ビジネスマナーを身に付けている」など、明確な基準を設けることで、当社との相性をはかりやすくなったのです。

そして採用前には必ず2週間の実習を実施し、上記の人物像に合っているか、さらには現状の業務で力を発揮してもらえそうかといった事柄を見極めるようにしました。最終日には全ての参加者にフィードバックを実施。たとえご縁がなかった場合にも、よく出来ていた点や、今後さらに伸ばす余地がある点を伝え、次のステップに進んでいただきやすいようにすることを心がけています。

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【自主性を育む職場づくり】

「合理的配慮はするが、特別扱いはしない」。それが当社の障がい者雇用に対する基本的なスタンスです。もちろん配慮は重要ですが、だからといって業務をむやみに肩代わりしてしまうと、社員の成長機会を奪うことになりかねません。

そのため当社では、1時間に1回の休憩時間の設定や、特性に合わせた業務の振り分け、定期的な面談の実施といった合理的配慮を行いつつ、社員が自分でできる業務は社員自身にやり方等を委ねています。業務の内容に関してわからないことがあれば、社員が直接、業務の依頼元である部署に問い合わせ、依頼部署との書類の受け渡しも社員自らが実施。業務の進捗も社員自身がホワイトボードで管理しています。

また、社員にとって少し背伸びとなる業務も積極的に任せることで、徐々に成長を促し、最初は管理者に頼りがちだった社員も、自主的に行動できるようになっています。

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【マニュアルを作らず、業務の正確性を担保】

実際の業務では、最低限の大まかな工程だけを決め、細かなマニュアルは作らないようにしています。社員の特性はそれぞれ異なるため、たとえマニュアルを作ったとしても、やり方が合わずにミスが増えてしまう社員もいるからです。

そこで当社では、社員の特性に合わせてメインの業務を割り振り、その業務ごとに2〜3人のチームを編成。チームごとに管理者と話し合いながら、自分たちに合った業務のやり方をその都度決めるというスタイルを確立しました。一律的なマニュアルに社員が合わせるのではなく、社員の特性に合ったやり方を採用することで、業務をより正確に行えるようになりました。

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ダイバーシティ推進の取組における成功談

自信がつき、新たな挑戦に踏み出す社員も

他部署から依頼された業務だけでなく、もう一歩進んだ業務にチャレンジする社員も増えてきました。例えば、ある社員は受け入れる実習生の対応を担当。他者をフォローするという経験を通して、業務の教え方や伝え方に試行錯誤しながらも、コミュニケーションに関する学びを深めています。また、学校や企業を訪問し、大勢の前で自らの成果を発表する社員もいます。

このように、社員たちが新たな領域に挑戦できるようになったのは、日ごろの業務で自信を身に付けたからだと考えています。自分の特性に合った業務を、自分にとってやりやすい方法で、自主的に行う中で、成功体験と達成感を蓄積し、定期面談で自分の成果を他者から評価してもらうことで、「自分はできる」と思えるようになったのだと思います。

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ダイバーシティ推進の取組における失敗談

実習期間での見極めの難しさ

採用方針や求める人物像を明確化し、人材の見極めに注力している当社ですが、実習期間だけでは当社との相性を見抜き切れないこともあります。実習中は集中力を発揮していたとしても、入社後に気が緩み、予見していた特性が強まったり、新たな特性が出てきたりして、ミスが増えることも少なくありません。その場合は、業務をうまく実行できるよう、新たなフォロー方法を考える必要があります。

例えばある社員は、実習期間中は正確に業務を遂行できていたものの、入社後に注意力が散漫になり、優先順位を誤ったり、報告を失念したりといったミスが目立つようになりました。そこで、定期面談以外にも1対1で話し合う頻度を増やし、根気強く本人の自覚を促すように心がけました。

実習期間だけで人材を完璧に見極めるのは難しいからこそ、入社後に新たに見つけた特性にも落ち着いて対応し、フォローしていける体制を整えることを心がけています。

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ダイバーシティ推進の取組における経営上の成果

互いを理解しようという組織風土に

以前は、会社全体として障がい者に対する知識や理解が足りず、合理的配慮を行うだけの土壌がありませんでしたが、障がい者雇用の取り組みを本格化した後は、他部署の社員と障がいを持つ社員の間で直接的なコミュニケーションが交わされるようになり、互いを理解しようという意識が醸成されつつあります。

例えば、取り組みの初期段階では、他部署の社員が、管理者を介してサポートサービス課に業務を依頼することが一般的でしたが、現在は管理者を介さず、担当社員に直接依頼するケースも増えてきました。他部署の社員が、障がいを持つ社員の特性に寄り添いつつ、業務指示や依頼方法を工夫できるようになって来たのだと思います。

一方、障がいを持つ社員は、サポートサービス課の内外を問わず、コミュニケーションを積極的に行う姿勢が身につきました。きっかけとなったのは挨拶です。「おはようございます」「お疲れ様でした」といった基本的な挨拶をはっきりと口に出すことで、他者との距離が縮まり、コミュニケーションを取りやすくなったのです。

それぞれの特性を理解し、受け入れるという組織風土が育まれていることは、取り組みの大きな成果だといえます。

コスト抑制を実現

従来、外部委託や派遣社員に依頼していた業務を、障がいを持つ社員が担うことで、コスト抑制を実現しました。

他部署では、突発的な事務作業や時期的な業務が発生した際、外注せずにまずは「一旦、サポートサービス課に相談してみる」という意識が根付いてきました。もちろん、サポートサービス課では対応できない業務もあるものの、一定の業務内製化とコスト抑制につながりました。

 企業担当者の声

「社内部署ならではの柔軟さを生かして」

当社では、社長をはじめ経営層が障がい者雇用に理解・配慮があり、サポートサービス課の活動は広く認知されています。現在は、他部署の社員が内線一本で気軽に業務を依頼してくれることも増え、サポートサービス課が会社の一員として頼りにされていることを実感します。

このように取り組みが成功しているのは、特例子会社ではなく、社内の一部署として専門チームを立ち上げたからこそかもしれません。特例子会社だった場合は、親会社から業務を受託する際に、見積もりや納期などの詳細な取り決めが必要になり、スムーズに業務を引き受けることが難しくなるからです。

今後も社内部署ならではの柔軟さを生かし、様々な部署からの多様な要望に応えつつ、障がいを持つ社員が生き生きと成長できるような職場づくりを続けていきます。

 従業員の声

入社2年目 管理本部サポートサービス課 吉田 寛美さん

2022年に入社し、書類の電子化業務や製本作業、実習生対応を担当しています。勤務時間は9時30分から16時30分です。

最初に当社を知ったのは、就労移行支援を利用中に職員から紹介されたのがきっかけでした。勤務場所や勤務時間などの希望条件に合っていた上、実習期間中に業務の取り組みやすさを感じ、入社を決めました。

入社後は、わずか3か月で実習生対応を任され、驚くと共に不安を感じたのを覚えています。教える業務は経験したことがなく、自信がなかったからです。でも、実際に取り組んでみると、自分が思っていたよりもしっかりと成果を出せていることを実感しました。もちろん、実習生への教え方で悩んだりすることもありましたが、周囲に相談したり、自分で考えたりしながら、少しずつ改善していきました。

このように背伸びの業務にチャレンジしたおかげで、自分がそれまで知らなかった、「前向きな自分」に出会えた気がします。また、管理者との面談で、自分が成長した点を客観的に評価してもらえることで、自信もどんどんついてきました。これからも挑戦を続けて少しずつ成長し、新しい自分を見つけていきたいと思います。

※記載の内容はインタビュー時点のものです。【公開月:2024年1月】