多様性が企業の力に—かんでんCSフォーラムのダイバーシティ推進
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社名 | 株式会社かんでんCSフォーラム |
業種 | サービス業 |
設立年月日 | 平成15年5月14日 |
資本金 | 4,525万円 |
社員数 | 約2,715名 |
本社所在地 | 大阪府大阪市都島区東野田町1-5-14 京橋フロントビル |
ホームページ | https://www.kcsf.co.jp/ |
ダイバーシティ推進に取り組む背景や歴史
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株式会社かんでんCSフォーラム 取締役 経営本部長 小畑さん
弊社は2003年に関西電力グループの総合マーケティング企業として設立して創業20年を超え、今年で21年目になります。(取材時点)
幅広い分野でお客さま企業のマーケティングに携わり、お客さま企業のお役に立てるよう真摯に取り組んできました。
関西電力のコールセンターに始まり、現在は電力や通信業界に留まらず、多くの企業様のCS(お客さま満足度)向上に取り組んでいます。
お客さまや社会のニーズは多様化・複雑化するとともに、その変化のスピードは年々速くなっています。
こうした中でこれからもお客さまに弊社をお選びいただくためには、従業員の持つ多様な視点を尊重しながら、それらを積極的に掛け合わせ、お客さまにとって魅力ある新しい商品・サービスを開発・ご提供し続けていく必要があります。
1人ひとりを尊重することで誰もが安心して働き、能力を最大限発揮できる職場環境につながると思います。それが会社の成長にもつながると考え、改めてダイバーシティ推進として取り組むことを明確にしました。
社会が多様性を尊重する方向に向かっている中で、私たち自身も様々な多様性を受け入れる組織である必要があると考えています。
ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容
- 貴法人でのダイバーシティ推進、特にLGBTQ+に関しての具体的な取り組み内容を教えてください。
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弊社では、従業員に対して性的マイノリティや性的指向、性自認に関する啓発のための研修や入社時の研修テキストにLGBTQ+に関する内容を記載していますが、お恥ずかしながら完全に確立された状態ではございません。従業員が様々な研修を受ける機会にLGBTQ+の内容を盛り込んでいくよう順次進めている状況です。
全従業員がすでにその教育を受けているという訳では無く、まずは「多様な考えもある」という認識をしてもらうことが肝要であると考えており、手探りで少しずつ進めている段階です。
また、採用応募の際、性別記載欄について男女以外の回答欄を設置するといったことも取り組みの一例です。
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ダイバーシティ推進取り組みにおける成功・失敗談
- 貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、成功したと思えるような取り組みはありましたか?
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2015年に大阪市女性活躍リーディングカンパニーの認証をいただきました。
初の認証以降、現在も継続して認証いただいております。弊社は元々、女性従業員が多い職場でしたので、女性従業員のモチベーション向上につながっています。
そうした中で、さらなるダイバーシティ推進の取り組みとして2024年3月に大阪市LGBTリーディングカンパニーの認証をいただきました。
従業員1人ひとりの「ちがい」を尊重し、受け入れ、活かし、誰もが能力を最大限発揮できる職場環境や組織風土の醸成が徐々にできてきていると感じています。
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- 貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、失敗したと思えるような取り組みはありましたか?
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大阪市LGBTリーディングカンパニー認証をいただきましたが、認証基準の全てを満たせている訳ではありません。
基準を満たす事が目的ではありませんが、例えば従業員への配慮として、配偶者やその親族に関わる休暇などの福利厚生制度において、同性パートナー等を配偶者と同等に取り扱うようにする等の対応は議論が必要と考えています。規程に盛り込むことはすぐにでもできますが、それだけで従業員の方に利用してもらえるとは限りません。
「制度を利用したい、制度を利用するにあたっての相談がしたい。」ということを言いやすい職場環境・風土の醸成にはもうしばらく時間を要すると考えています。また、会社で研修を行っているというお話もしましたが、会社が旗振りをしても結局は個々人の受け止め方次第になります。
多様性のある方々にとって必ずしも良い職場環境になるという訳ではないので、その点が歯痒いところではあります。
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ダイバーシティ推進の取り組みにおける経営上の成果
- ダイバーシティ推進の取り組みにおける経営上の成果はありますか?
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2015年に大阪市女性活躍リーディングカンパニーの認証、2024年に大阪市LGBTリーディングカンパニーの認証をいただきました。
リーディングカンパニーとしての認証を得ることは、弊社のダイバーシティ推進状況を客観的にも認めていただいている何よりの証になりますし、「弊社で働きたい」と思ってもらう1つのきっかけにもなっていると思います。様々なバックグラウンドを持つ方々に働いていただくことで社内での新しいアイデアや意見につながり、お客さまの多様なニーズにお応えすることにつながると考えています。
また、社会的にも認められているということが、結果的に従業員のダイバーシティに関する意識向上や自由な発言・表現につながり、全体的なエンゲージメントの向上にもつながっていると感じています。多様な方々とともに働くことで、従業員にダイバーシティについての認識を更に深めてもらい、より多くの多様な方々を受け入れられる職場環境の醸成にも期待しています。
ダイバーシティへの取り組みは10年以上行っており、主に女性の活躍推進に取り組んでいます。今回「従業員の声」としてインタビューに答えてもらっている新田さんは、20年勤務いただいている中堅の役職者です。弊社において、役職に就いている方が自分をオープンにすることは、社内の人権マインドを醸成していく中で非常に意義のあることだと思っております。
関西電力グループ全体としては、2015年に「関西電力グループ ダイバーシティ推進方針(現「関西電力グループ ダイバーシティ&インクルージョン推進方針)」を制定しました。さらにその翌年には「関西電力グループCSR行動憲章」(現「関西電力グループ行動憲章」)において、関西電力グループとしての基本姿勢、1人ひとりの行動規範としてダイバーシティを推進していく旨を明記しています。弊社においても、これらの取組みの一層の徹底・加速に取り組んでいます。
LGBTQ+に限らず、弊社には多様な方々が働いています。
例えば、障がいを持つ方や特定の感覚に敏感な方の声をヒアリングしながら改善を進めています。
LGBTQ+だけが「多様性」ではないので、その他の「多様性」に関しても「いろいろな個性がある」ということを少しでも従業員に幅広く認識を持っていただくために、対応できるものは1つずつ気付いたところから改善し、会社として少しずつ認識を深めながら取り組んでいます。
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(左) 経営本部 経営企画部 人事労務グループ マネジャー 立野さん
(右)経営本部 経営企画部 人事労務グループ ジョブマネジャー 龍田さん
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営業本部 第一事業部オペレーショングループ リーダー 新田さん
- 社内で多様性が理解されていると感じる具体的な瞬間や出来事を教えてください。
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入社当時は多様性への理解が全く進んでおらず、偏見が強い社会状況でしたので、友人や職場の方へカミングアウトすることができず、人との交流も極力避けて過ごしていました。
しかし、ここ数年でダイバーシティへの理解も徐々に浸透していき、社内でも多様性を認めてくれる方が多くなってきたことで、昔よりもオープンに話しやすくなっていると感じています。
また、上司に相談した際の「あなたがどんな格好していても構わない。ただちゃんと仕事をしてくれればそれでいい。」という言葉が大きな支えになり、社内での多様性の理解を実感しています。 - 安心して働ける環境を見つけるために、特に注目するべき条件や特徴は何ですか?
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まずはLGBTQ+専門の求人媒体を見て、ダイバーシティやLGBTQ+の取り組みについて記載があり、積極的に力を入れている会社を探すと良いと思います。
特別に良い対応をしてもらう必要はないですが、悪い対応をされないかと考えてしまうので、何も記載がない会社よりも記載がある会社の方が安心感がありますね。