女性の働きやすい職場をめざしてー大阪第一交通の取り組み

社名大阪第一交通株式会社
業種運輸業
設立年月日昭和31年7月5日
資本金1,000万円
社員数約367名(大阪地区グループ全体約1,400名)
本社所在地大阪府堺市堺区神南辺町1-45-1
ホームページhttp://osaka-taxi.0152.jp/

ダイバーシティ推進に取り組む背景や歴史

第一交通産業株式会社 交通事業部 関西支社 主任 川原さん

私たち大阪第一交通は、大阪府堺市を拠点に「総合生活産業」としてタクシー・バス・整備事業など、地域の生活を支える事業に取り組んでいます。特にタクシー事業では、大和川以南の泉州、河南、南大阪エリアを中心に展開し、北部地域へも事業を拡大中です。
現在、大阪府内で約900台の車両を保有し、大阪でもトップクラスの規模を誇ります。
ちなみに、親会社である第一交通産業株式会社は、福岡県北九州市に本社があり、全国で約8,000台の車両を保有する日本最大規模のタクシー会社です。

近年、日本全体での人手不足や高齢化の影響を受け、タクシー業界でも人材確保が重要課題となっています。
特に地方では、高齢者や公共交通機関が利用困難な方々にとって、タクシーが重要な役割を果たしています。
そこで、私たちは業界の持続可能性を確保するため、労働力の多様化に取り組んでいます。

これまでは中高年層を中心とした採用が主流でしたが、現在は女性、若年層、新卒社員、外国人の積極採用を進めています。
特に女性社員の採用拡大を重要視しており、従業員に占める女性比率がわずか3%だったことをきっかけに、全社を挙げてダイバーシティ推進に取り組んでいます。

また、インバウンド需要の拡大やグローバル化を受け、外国人観光客への対応が重要となり、外国籍ドライバーの採用と活用によるサービスの多様化にも注力しています。
これからも幅広い人材が活躍できる環境を整え、地域社会に貢献していきます。

ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容

  • 業界全体の変革
    従来の男性中心の業界構造から、多様な人材が活躍できる職場への変革を推進。
    女性や若年層の採用を強化し、人材不足解消を図る。
  • ハラスメント防止と安全対策
    • セクハラ防止対応マニュアルの策定。
    • 管理者向けハラスメント研修の実施。
    • 防犯対策として催涙スプレーを支給。
  • 職場環境の整備
    • トイレや控室を男女別に整備。
    • 各営業所に更衣室を設置。
  • 柔軟な働き方の提供
    • 土日休みのシフト勤務の導入。
    • 業界で初めて固定給制度を導入し、収入の安定を確保。
    • 子どもの急な体調不良へのシフト変更対応や、会社車両の利用許可など柔軟な支援。

  • 女性管理職の採用と育成
    教育担当や総務部門に女性管理職の方を配置。
    現在、大阪エリアでは数名の女性管理職の方が在籍し、今後は管理職候補の女性社員を採用するなどして、多様な人材の採用を計画しています。
  • 育児支援
    • 従業員向け保育所を大阪府内で4園運営。
    • 地域住民にも利用可能な環境を整備。
  • 女性ドライバーの声を反映
    • 女性社員の意見を吸い上げる「女性会議」の定期開催。
    • 問題提起や解決策を話し合う場を設け、職場改善に活用。
  • 車両の改善
    • 女性ドライバーが運転しやすいコンパクトな車両を導入。

これらの取り組みを通じて、大阪第一交通は女性が安心して長く働ける環境を整え、ダイバーシティ推進に取り組んでいます。

ダイバーシティ推進取り組みにおける成功・失敗談

貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、成功したと思えるような取り組みはありましたか?

弊社では、女性の活躍推進と働きやすい環境整備が特に成果を上げています。女性ドライバーの採用を強化し、固定給制度や柔軟なシフト制度を導入したことで、働きやすさが向上しました。また、保育所の運営や車両の改善、ハラスメント防止対策なども実施し、多様な人材が安心して働ける環境を整備しています。これにより、お客様からの満足度向上に加え、新たな応募者の増加にもつながり、採用の好循環が生まれています。

貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、失敗したと思えるような取り組みはありましたか?

女性社員は年々増加傾向ではありますが、大阪エリアでは女性管理職が2名と少数なのが現状です。
新卒採用の女性も含めると管理職候補となる方が5名いらっしゃいますが、これからさらに多くの女性管理職を増やしていくため引き続き育成や採用を進めていきたいと考えています。
また、男女比率も多業種に比べて追いついていないので、近い将来には男女比率が均等になるように採用を進めていきたいと考えています。

ダイバーシティ推進の取り組みにおける経営上の成果

経営上の成果としては、女性ドライバーが増える事でそれが呼び水となり更なる新規応募者・採用者につながり、採用コストのダウンにも寄与しています。
また、女性採用以外では、数はまだ少ないですが外国人留学生の採用を行う事でインバウンド需要への対応や人材不足解消へのあらたな一手として兆しが見えてきています。

人事担当者の声

タクシー業界は他の事務仕事とは異なり、プライベートの時間を大切にした働き方が可能です。
保育所の設置も、プライベートを大事にする方々に配慮した取り組みの一環で、タクシー業界の特性を生かした柔軟な働き方を提供することで、女性の活躍を推進しています。

また、タクシー業界は免許資格の面で敷居が高いように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。
応募時に必要なのは普通免許(AT限定可能)と1年間の運転歴だけです。
免許を取って1年経っていれば応募が可能で、弊社の研修を経て一人前のドライバーとして育成します。
正直、どなたでも気軽に始められるのがタクシーの仕事の魅力だと思います。

弊社では具体的な人物像や資格には拘っておらず、一緒に働きたいと思える人物、地域を盛り上げたいと思える人物、会社の雰囲気を気に入っていただける方であれば、ぜひとも採用したいと考えています。

大阪第一交通株式会社 大阪地区総務担当 主任 宇野さん

従業員の声

現在のお仕事の内容と1日の流れについて教えてください。

私は入社してから配車指令室という部署でのオペレーター業務に約1年半従事しています。(取材時点)

ご利用いただくお客様の立場に立ち、お客様からの迎車のご要望に対して丁寧で迅速かつ効率的な手配を行えるように日々心掛けています。

1日の流れとしては、朝出社すると同時に会社に併設されている保育所に子供を預け、配車指令室での仕事が始まります。
私はパートタイムで働いており、午前9時から午後3時まで配車業務を行っています。

配車指令室 オペレーター 奥村さん

現在、奥村さんは入社して1年半になりますが、大阪第一交通で長く働き続けられる理由を教えてください。

弊社の保育所は事務所のすぐ横にあるので、子どもの急な体調不良や何かあった際すぐに駆けつけることができ、安心して働くことができます。
また、配車指令室のオペレーターの半分以上が女性ということもあって家事や育児に理解のある方が多く、子どもに何かあった際はお互いに助け合って働くことができています。
私にとって社内に併設された保育所の存在と子育てに理解のある職場であることが、長く働き続けられる理由だと考えています。