LGBTQ含む多様性推進により、社内外に広まるネットワーク
株式会社タカラレンタックスグループホールディングス | |
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業種 (事業内容) | 不動産仲介業、不動産管理業 |
設立年月日 | 1967年5月10日 |
資本金 | 4,000万円 |
社員数 | 194人 |
本社所在地 | 大阪市東淀川区 |
ホームページ | https://www.trg.co.jp/ |
ダイバーシティ推進に取組む背景や歴史
当社は1960年代から始めた文化住宅の賃貸経営事業から始まり、今年で会社創立56年となります。
現在は、賃貸住宅の仲介・管理を中心に、不動産関連事業を展開しています。(法人社宅あっせん、学生仲介、居住用不動産の売買仲介、投資用不動産の売買仲介、相続コンサルティング、リフォーム・リノベーション企画および施工、社内向け管理システム開発など)
総務人事部課長代理 守一 裕史 さん(左)
総務人事部課長 児玉 賢一 さん(右)
現在の不動産市場は、少子高齢化、ライフスタイルの変化、住宅の過剰供給など、さまざまな背景と価値観の変化により、大きな転換期を迎えています。
こうした中で近年では、変化していくお客様のニーズに応えることがより求められてきております。
これまでの事業に固持するのではなく、新しいアイデアとチャレンジに取り組むため、社内に多様性あふれる人材が集まり、豊かな視点と能力が発揮できる企業の姿をめざし、ダイバーシティ推進の取り組みが始まりました。
また、2018年新卒採用にてLGBTQ当事者(トランスジェンダー)を採用したことをきっかけに、社内でLGBTQの認知と理解を深め、取り組みを進めています。
残念ながら、きっかけとなった社員は個人都合で退職しましたが、現在まで3名のLGBTQ当事者(トランスジェンダー等)の方が活躍しています。
今後も積極的にLGBTQ当事者を採用し、社内制度も合わせて変更し、年齢・性別・障がい・国籍を問わず、多様性にあふれる人材の活躍をめざし、すべての社員が安心して働ける職場環境の実現に取り組んでいます。
ダイバーシティ推進のあゆみ
- 2018年 2月
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LGBTQ勉強会を社内で開催(責任者対象)
- 2018年 4月
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新卒採用でLGBTQ当事者を採用
- 2018年 6月
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LGBTQ当事者の配属エリアで勉強会を開催
- 2019年 2月
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就業規則に、性的指向・性自認に関する事項を追加
- 2019年 3月
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大阪市LGBTリーディングカンパニー認証制度で2つ星の認証交付
- 2019年 7月
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LGBTQ勉強会を社内で開催(全社員対象)
- 2019年 9月
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天六駅前店にLGBTお部屋探しサポート相談窓口を開設
- 2019年10月
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「レインボーフェスタ!2019」にブース出展で参加
- 2021年10月
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オンラインによる「LGBTQのためのお部屋探しセミナー」を開催
- 2022年10月
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「レインボーフェスタ!2022」に追手門学院大学 葛西准教授ゼミと共同ブース出展で参加
ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容
【外部専門家の研修受講および、相談窓口の設置】
2018年4月に、LGBTQ当事者(トランスジェンダー)が入社するにあたり、LGBTQの認知・理解を深めるため、まずは総務人事部担当者及び店長以上の責任者が外部専門機関の研修を受講しました。
その後、外部専門機関とアドバイザリー契約を結び、社内制度等においてどのような対応が必要なのかを相談・確認していきました。
外部専門機関には、社内で実施するLGBTQ勉強会も担当していただいています。
当社では、LGBTQ当事者本人もLGBTQに関して詳しくない方もいることから、研修対象としています。
また、公私共に何でも相談できるように、LGBTQ当事者用の相談窓口を外部専門機関にお願いして設置しています。
【就業規則の変更】
LGBTQ当事者を迎えるにあたり、就業規則に、以下内容を追加しました。
- 人事異動に当たり、性的指向や性自認に起因した差別を行わない旨
- ハラスメント禁止の条項に、「性的な言動」には性的指向・性自認に関する言動も含まれる旨
【性自認に基づく社内対応】
トイレの利用について、男女でトイレが分かれている事業所については、性自認に基づいて当事者が希望するトイレを使ってよいとしました。
服装も、性自認に基づいて自由に選択できます。また、健康診断は、本社にバスを呼んで行う集合健診を実施しており、基本的には男女別に行っていますが、当事者から希望があれば、提携先の健診センターで受診可能としました。
【採用活動時の対応】
採用活動にあたり、エントリーシートや会社のウェブサイトに掲載している応募用紙に性別の記入欄を設けていません。
履歴書の性別欄も記載を義務付けていません。
また、すべての候補者に、面談時最後に「知っておいて欲しいことはありますか?」と聞き、ご自身のことを伝えてもらう(カミングアウトも含む)時間を設けています。
また、通常の採用活動だけではなく、LGBTQ当事者向けの外部求人サイトへ募集掲載を行い、積極的にLGBTQ当事者の採用活動も行っております。
ダイバーシティ推進取組みの成功・失敗談
成功談
LGBTQ当事者向けのお部屋探し相談窓口を開設
お部屋探しをされるお客様の中には、同性カップルで入居申込をされる方もいらっしゃいますが、残念ながら入居審査が通らない方が多くいらっしゃいます。
そうした賃貸住宅の申込や契約で悩まれている性的マイノリティの方々をサポートし、不動産業界での理解が広まるように、当社は、2019年にLGBTQ当事者向けのお部屋探し相談窓口を開設しました。
この事業は、LGBTQ当事者が入社したことをきっかけに構想が始まり、当事者の社員も本事業に参加しています。
当事者の視点で問題や課題を見つけ、情報を発信することで、多くのお客様に寄り添いながらサービスをご提供しています。
相談窓口を設置したこと、LGBTQ関連イベントに出展参加したことで、多くの皆様に当社の取り組みを認知いただき、新規のお客様の獲得につながっています。
失敗談
【LGBTQの理解が得られず、入居審査NG】
当社のLGBTQ当事者向けのお部屋探し相談窓口にて、お客様から相談や希望を伺い、案内できる賃貸住宅を探しますが、オーナー様や管理会社にLGBTQについて理解が得られず、入居審査で断られるケースがまだ多くあります。
残念ながら、当社だけの取り組みでは解決できない部分です。
しかしながら、不動産業界の研修会でもLGBTQに関する問題が取り上げられるなど、徐々にではありますが理解推進の取り組みが、業界全体に広がりつつあります。
当社でも、定期発行しているオーナー様向け情報誌「TRGオーナーズ新聞」にLGBTQの理解と認知をいただくために情報を掲載しています。
現在コロナ禍で中止されていますが、今後はオーナー様向けセミナーでもLGBTQに関する情報を発信していく予定です。
ダイバーシティ推進の取組における経営上の成果
価値観の変化による業務改善・効率化
2019年に大阪市LGBTリーディングカンパニー認証制度で2つ星認証をいただき、採用説明会などで当社のLGBTQを含めたダイバーシティ推進の取り組みを紹介し始めて以降、入社志望者のなかにLGBTQ問題に興味がある方や多様性をめざす企業理念に共感を持つ方が増加しました。
こうした入社志望者は、当社の企業姿勢について理解しているため、当社社風にマッチした人材であることが多く、また、有能な人材の採用に繋がっています。
社内でもLGBTQに関する研修を実施し、多様性について学んだ社員達が、これまで以上にお客様や仲間への接し方が寛容に(柔らかく)なった印象があります。
社員同士や部署間のコミュニケーションが活発になり、業務における迅速さや連携が向上し、業務改善や効率化につながっています。
【人事担当者の声】
多様性による変化
多様性そしてLGBTQ問題に不動産会社として取り組みを始めたことにより、社員の意識が年々変わってきていることを感じています。
協力し合い、互いに尊重しあう雰囲気という社風が醸成されつつあります。
また、同じくLGBTQの課題を解決するための活動を行う団体、大学、企業とのネットワークが生まれ、情報交換や協力などの関係を構築しており、活動されている他グループの方から問合せをいただくなど、LGBTQ問題に取り組む大阪の不動産会社としての認知度も向上しています。
LGBTQ当事者の方の採用にあたり、まず外部専門機関の意見を聞き、社内体制を整えた上で実施することで、社内でスムーズに受け入れ体制がとれ、当事者も戸惑うことなく働き始められるのではと思います。
これからも、多様性への理解と尊重が社会へと広がるよう、まずは社内から積極的に推進を行っていきます。