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独自の評価制度とコミュニケーションが生み出す、多様な人材が活躍できる環境づくり

吉泉産業株式会社

業種(事業内容)

製造業(食品加工機械・洗浄機)

設立年月日

1955年1月1日

資本金

1,000万円

社員数

113人(うち、女性20人/外国人16人/障がい者3人)

本社所在地

枚方市

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ダイバーシティ推進に取組む背景や歴史

吉泉産業株式会社
常務取締役総務部長・人事部長
麻苧(あさお)敏治 さん

当社は、1955年に守口市で食品機械の製造・販売を開始しました。様々な製品開発を続け、1990年に現社長が就任、ご縁あって2005年に枚方市の関西学研都市津田サイエンスヒルズに現本社・工場を移転しました。津田サイエンスヒルズには、大阪府内のものづくりのけん引役として研究・商品開発機能を備えた企業や大学など、世界に誇るものづくり企業が立地しており、互いに提携や協力をしています。現在、当社は食品をカットする大型のフードスライサー部門において“国内トップシェア”を獲得しており、「売上100億円・100年企業」をめざしています。

そのような中、昨今の人材不足は、当社にとっても大きな課題のひとつでした。【良い人材】を採用するには、国籍・年齢・性別等にかかわらずダイバーシティ採用を行い、能力を持った人材が活躍できる場を構築していけばいいのではないかと考え、ダイバーシティ推進に取り組みはじめました。

ダイバーシティの取組は、15年以上前に技能実習生を雇用したのが始まりでした。お互いに試行錯誤しながら、一緒に業務を行っていましたが、実習期間3年で技能実習生の入れ替わりを繰り返していました。

そんな折、約10年前に新卒採用の就職説明会で1人の留学生と出会いました。日本語が堪能で自身のキャリアを真面目に考え、熱心に質問したり、礼儀正しい振る舞いが印象に残り、面接・面談を通して初めて外国人留学生を採用しました。それまでは日本人の採用を想定した採用活動をしていましたが、この留学生との出会い、そして入社後に期待以上のパフォーマンスをしてくれたことで、次年度から国籍を問わない採用活動をし、その結果毎年優秀な外国人留学生を採用することができています。

また、従業員とその家族の幸せが業績につながる、能力を持った人材が活躍できる場を構築しようという思いから、保育園の開設、定年制度の事実上の廃止等様々な取り組みを行ってきました。

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ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容

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【成長Eシート(評価制度)の導入】

社員の成長を会社でサポートしようという取り組みの一環で、「国籍・性別・年齢等にかかわらず、業務上の成果のみで評価する」といった独自の評価制度(成長Eシート)を導入しました。成果を上げるためのプロセスの見える化を行うことにより、行うべきことが誰が見てもわかる仕組みになっています。評価は絶対評価方式で、全員が100点をめざし、自分・上司・経営層の3者で評価するため、評価に偏りがないようにしています。また、優れた仕事のやり方は、すぐに全社員で共有し、業務改善を図っています。成長Eシートで個人の頑張りを評価するため、他人の状況に左右されることなく、評価の高い社員は、昇格を年々繰り返すことによって、いずれは社員全員が部長というポジションにつくことも可能です。社員の状況に合わせ、新規事業の実施や部署を創設する等、活躍の場を増やしていく予定です。この評価制度は、社内の課題や問題を踏まえ、随時改善しています。

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【活発な委員会・クラブ活動】

多様な人材が活躍している社内のコミュニケーションの活性化を図るため、【いい会社にしよう】というスローガンのもと、8つの委員会(いい会社にしよう・健康向上・改善提案・環境整備・子育て・社員旅行・広報・資格取得)を設立しました。社員が勤務時間内に行う活動で、任期1年、5~8人程度で委員会を構成しています。国籍・年齢・性別等を問わず、社員が一丸となっていい会社にするため、意見を出し合っています。また、仕事以外に社員に楽しんでもらうことを目的として社員主導でクラブ活動(フットサル、ゴルフ、ドローン、釣り、ハイキング、登山等)を行っています。精力的に活動しているクラブには、会社から助成金を支給し、活動を支援しています。その他、若手限定の飲み会や子育てママの集まりなど、社員が自発的に様々なコミュニケーションの場を作っています。こうした部署やチーム間の垣根を越えた社員同士のコミュニケーションが、風通しのよい社風を築き上げています。

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【企業主導型保育園を開設】

長く働いてもらいたい、優秀な女性を採用・活躍してもらいたいという思いから、内閣府、枚方市の支援・協力を受け、2018年に企業主導型保育園を開設しました。会社から徒歩5分圏内の津田サイエンスヒルズ内にあり、社員の子育てと仕事の両立をサポートしています。また、その他育休復帰後の業務量の調整や時差出勤等、子育て社員を支援しています。
保育園と同ビル内に社員食堂も設けており、ハード・ソフトとも法定以上に福利厚生制度を充実しています。

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ダイバーシティ推進取組における成功・失敗談

成功談

外国人社員の活躍

国籍を問わず、優秀な人材を採用した結果、現在8か国(ベトナム、中国、韓国、インドネシア、フィリピン、タイ、キューバ、台湾)16人のメンバーが開発設計、生産管理、営業、総務等様々な業務で活躍してくれています。このメンバーたちは、与えられた業務や課題にしっかりと向き合い、成果を出しており、日本人社員へ良い刺激も与えてくれています。従来の考え方にとらわれずに新しい創造性のある開発設計や営業をするため、お客様にも大変評価されています。また、外国人社員が活躍してくれていることで、毎年優秀な外国人人材が採用でき、好循環を生み出しています。当社内での外国人人材の活躍は、周りの会社関係者からも注目されています。

失敗談

思い込みから生まれたミスコミュニケーション

採用がうまくいかず、人材が定着しないという時代もありましたが、ダイバーシティ推進の取り組みによって現在は採用・定着共に安定しています。
その中で、失敗談はあまりないのですが、多様な人材と働くうえで、【思い込み】や【先入観】にとらわれたモノの見方をして上手くいかなかったという時期がありました。例えば、外国人社員と一緒に業務をする上で、日本人同士であれば言わなくてもわかるという常識や「あ、うんの呼吸」で進めていくと、全く話が通じていなかったということがあったり、「外国人だから」などと過剰に意識して、逆に上手くコミュニケーションがとれなかったということがありました。もちろん、日本人同士でもそうした問題が発生しますので、自分の思い込みでモノの見方をしてはいけない、誰もが理解しやすい業務指示をしなくてはいけないと再認識しました。

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ダイバーシティ推進の取組における経営上の成果

社員の強いつながり

委員会やクラブ活動、その他社員の集まりを通じて、社内のコミュニケーションが活性化され、風通しの良い社風となりました。お互いを知ることによって、性別、国籍、年齢等に捉われない風土が醸成されました。また、人事面談で今後のキャリアプランや希望をヒアリングしたうえで、様々な業務でスキル向上できるよう、部署・職務のローテーションを希望する社員には、ローテーションを行っています。それにより、部署の垣根を超えたコミュニケーションが増え、他部署の業務内容を理解することによって、社員同士でなんでも相談し、助け合い、業務が円滑に進むようになりました。おかげさまで業績も右肩上がりで、拠点も国内外に増やしています。

好循環を生み出す外部評価

技術を磨き、ダイバーシティを推進することによって様々な賞を受賞し、知名度が上がり、多くの皆様に当社を知っていただきました。
(2020年当社社長「黄綬褒章」受章、2022年「第12回日本でいちばん大切にしたい会社」審査委員会特別賞 など)
また、大阪府、枚方市をはじめとする行政機関や企業の皆様に当社を訪問いただき、良いご縁・つながりができました。さらに、社員食堂や保育園を津田サイエンスヒルズ内にある企業や地域の皆様に利用いただいたり、働いていただくことで、地域社会とのつながりもより一層強くなりました。
技術向上・ダイバーシティ推進によって得られた外部評価は、社員の意識向上にもつながり、やる気につながる好循環を生み出しています。

人事担当者の声

多様性による変化

色々な国の人達や障がい者の方々も一緒になって仕事を進めていくことが、今や何の違和感もなく、アタリマエな感じが定着しています。外国人社員から母国の話を聞けることは楽しいですし、中には仲の良い日本人社員が外国人社員の母国に一緒に観光を兼ねて訪れたという話も聞いています。私も何人かの外国人社員の家族に会って楽しいひと時を過ごすこともあります。これからもダイバーシティを推進し、多様な人材を受け入れ雇用していきたいと考えています。

従業員の声

(2020年 中途入社)
ポーンウォン マンリカ さん

タイ出身、日本で語学留学・他社での就業を経て、2020年に中途入社し、開発設計課に勤務しています。

入社当初は、語学面の不安がありましたが、業務をやりながら何度も確認し理解を深め、まわりとコミュニケーションを取っていきました。当社は、様々な国籍の社員が働いていますが、国籍の壁をあまり感じず、人間関係がよいので、意見も出しやすく、相談しやすい環境です。
現在は、健康向上委員に選抜され、日本の素晴らしい景色を楽しみながら健康向上をしようという思いから、ハイキング登山部を立ち上げ、リーダーとして活動しています。業務だけでなく、みんなとプライベートで仲良くなれる場として楽しんでいます。
今後は、当社のタイ拠点の設立に向けて尽力し、タイ拠点の社長をめざして頑張っていきたいです。


※記載の内容はインタビュー時点のものです。【公開月:2023年9月】