株式会社高洋商会
社名 | 株式会社高洋商会 |
業種 | 製造業 |
設立年月日 | 昭和62年 3月1日 |
資本金 | 1,000万円 |
社員数 | 約50名 |
本社所在地 | 大阪府岸和田市岸の丘町2-8-40 |
ホームページ | https://www.kouyou-shokai.co.jp/ |
ダイバーシティ推進に取り組む背景や歴史
株式会社高洋商会 代表取締役 山川さん
株式会社高洋商会は1987年の設立からコンクリートの型枠を作っています。
型枠という言葉はあまり馴染みがないかもしれませんが、コンクリートは元々液体状の生コンクリートを型に入れて固めることで頑丈な構造物になります。
液体状であるため、型さえあればどんな形にもなるのが特徴です。
弊社では特に、丸型やひねりのある形、三次元にねじれた特殊な構造物の型枠を専門に作っており、独自性の高い建築物や構造物の実現をサポートしています。
そんな弊社では将来ビジョンとして海外進出を掲げており、外国人社員も視野に入れた営業社員の採用活動を進めていました。
また会社の成長を考える中で、多様な背景を持つ社員が活躍し、社員それぞれの良さを発揮できる会社づくりを進めていました。
採用手法の一つとしてSNSで求人を公開したところ、海外在住の外国籍の方から5名ほど応募が来ることになりました。
コロナ禍の最中ということでオンライン面接などの知見も蓄積していたので、日本への留学経験がある方を中心にオンライン面接を進め、人物的にも能力的にも問題ないと感じたため、香港在住の方を採用することに決めました。
ダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容
- 貴法人でのダイバーシティ推進の具体的な取り組み内容を教えてください。
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私が入社したのは2013年ですが、その頃から社内の高齢化が進んでいました。
当時、私は28歳で、次の先輩が48歳だったので20歳の差がありました。
また、男性社員しかおらず、徒歩圏内や近隣の市から通っていらっしゃる方々ばかりでした。
- そういった環境で働くのは、ジェネレーションギャップもあったのではないでしょうか?
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その通りです。地域的な背景や考え方も似通っていて、会社の文化も非常に限定的でした。
そのため、多様な視点が取り入れられることが少なく、十数年前は本当にダイバーシティとは無縁の状態だったと思います。弊社ではまだまだダイバーシティと言えるほど多様な人材が所属しているか分かりませんが、10代から70代後半までの年齢層の社員が同じ職場で活躍していることや、外国人社員、女性社員、大企業出身者、リモート社員2名、リモートと出勤が半々の割合の社員や週3勤務でIT・DX推進役として働いている契約社員、フリーランスとしてかかわる方など、働き方に多様性があるように思います。
今後、障がい者や学生アルバイトなど分野を広げていきたいと考えています。
ダイバーシティ推進取り組みにおける成功・失敗談
- 貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、成功したと思えるような取り組みはありましたか?
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外国人社員はまだ1名だけですが、自分たちとは違う文化の方と一緒に働くことはとても学びの多いことと思います。
弊社では岸和田市出身の社員が多く、地元から離れた経験のない社員が大半です。
自分たちの常識が通じない、対話が必要ということは社員にとっても大きな経験になっていると感じます。
また入社してくれた外国人社員は日本への理解も深く、自分から積極的に溶けこもうと努力してくれていることも大きいです。
初めての仕事でも勉強を欠かさないし、コミュニケーションも自分から取ってくれるので周りからの信頼も厚いです。
- 貴法人では様々な取り組みが効果的に機能していますが、失敗したと思えるような取り組みはありましたか?
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一人目に採用した外国人社員が日本への留学経験や通訳、観光アテンドの経験があったため、日本語に苦労することはありませんでしたが、それが日本人社員の基準になってしまっていないかが心配です。
何度か面接していますが、単純労働よりはコミュニケーションを取る仕事が多く採用には至っていないのが現実です。
ダイバーシティ推進の取り組みにおける経営上の成果
- ダイバーシティ推進の取り組みにおける経営上の成果はありますか?
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外国人というより1人の戦力として活躍してくれています。
今後海外進出などがあれば商談などで活躍してくれるかもしれません。
まずは特別扱いせずに、自社の社員として成長してくれていることが成果につながるのかと思います。
社員の受け入れる空気感も大きく変わったように思います。
書類申請などの流れもある程度分かったので、1度目の採用よりハードルが下がっています。
そのため、以前より幅広く採用対象を設定できるようになったことも成果の一つと思います。
- その状況から、どのようにして会社を変えていこうと思われたのでしょうか?
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若い世代が社内にいない状態であれば事業の継続性が難しいと考え、まずは採用の方向性を変えていきました。
私が元々人材業界に身を置いていたこともあり、それまでハローワーク中心だった求人掲載から求人広告を活用し、若い世代の採用を行うことができました。
しかし、その頃は弊社の製品がヒットして会社が伸びており、猫の手も借りたい時期だったのですが、忙しさや社風から採用した方の定着率が非常に悪く、人材の採用だけではうまくいかないことに気づかされました。
また、社風で言えば挨拶すらなかった会社だったので、まずはキチンと挨拶をする文化を取り入れました。
新入社員に関しても、以前はあまり説明もなく業務に対しての理解が浅いまま作業してもらう状態だったので、これは良くないと思い、会社のことを理解してもらう意味も込めて研修を始めると、少しずつ定着率が向上していきました。
その他、日給制から月給制への変更や、それまで50日しかなかった年間休日を増やすことに尽力しました。
今では年間休日116日になり、社員の定着率もさらに向上し、現在は人事評価制度も整備中です。
- そうした取り組みの成果が現れたのですね。外国人採用についてはどうでしょうか?
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コロナ禍前から採用が難しくなっていたため、インスタグラムやTikTok、Facebookなどで求人を出しました。
SNSの求人には外国人の方からの応募が多く、リョウ氏という香港出身の方を採用しました。
彼は日本語が堪能で誠実な方で、現在も活躍してくれており外国人採用の成功例となっています。
- 今後も外国人採用を進める予定はありますか?
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国籍や性別に関わらず、業務を進める上で必要なスキルを持ち、会社の理念やパーパスに共感してもらえる方を積極的に採用していきたいと考えています。
外国人採用に関してはまだ課題もありますが、いろんな人が入ってくることで社風も変わり、より良い環境を創造できると思っています。 - 障がい者の方や高齢者の方の採用についてはどうでしょうか?
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現在、製造部門では高齢の方も多く働いています。事務職についても、良い人材がいれば年齢は関係なく採用を考えています。
特に開発や技術を持っている方であれば大歓迎です。
梁 子健(リョウ・シケン)さん
- 高洋商会に入社されたのはいつ頃でしょうか?
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2022年の4月です。
勤めてから約2年半になります。(取材時点) - 日本に来てから戸惑ったことや難しかったことはありましたか?
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私は日本のサブカルチャーが大好きで、18歳から22歳まで日本のゲームデザイン学校に留学をしていたので、日本のことには慣れています。ただ、住む場所を探すのには苦労しましたね。
- 高洋商会に入られたきっかけは何ですか?
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日本で様々な経験を経て、本国へ戻り10年間消防士をしていましたが、日本への憧れが捨てきれず、日本での就職を考えていました。
当時はコロナ禍だったため本国からの出国ができなかったのですが、最終選考は日本でという企業がほとんどのところ、最終までオンラインミーティングツールで対応してくださったのがきっかけです。
また、私のためにオンラインで働く場所を見せて貰えたことも、安心して決めることができた要因の一つです。
- 現在、梁さんは入社して3年目になりますが、高洋商会で長く働き続けられる理由を教えてください。
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やはり人ですね。
日本語が話せると言っても専門用語や方言の問題で、どうしても分からない時があるのですが、一から丁寧に教えてくれるので非常に助かっています。
また、外国人である私のことも理解してくれていて、お互いのことを尊重しながらも仲間として受け入れてくれる風土も理由の一つです。